こういった疑問にお答えします。
福岡県は首都圏と異なり、中学受験が盛んな地域ではありません。それには理由があります。
また、本記事では中学受験をする3つの意味について紹介しますので、お子様の将来を見据えて中学受験を考えてみてはいかがでしょうか。
福岡県で中学受験をする
東京都では小学校の4人に1人が私立中学校を受験しますので、東京都の小学生の約25%が私立中学校に通う割合です。
福岡県で中学受験を経験する人はそれほど多くありません。
福岡県の具体的な数値は分かりませんでしたが、兵庫県8%、広島約10%といった数値から換算すると、福岡県の小学生の10人に1人程度が中学受験を経験する計算になります。
なぜ、福岡県では中学受験人口が少ないのか、その理由は次のとおりです。
公立高校の人気
福岡県は地域を区分けした学区制を採用しており、福岡県内は13学区に分けられています。
この各学区のトップ公立高校に進学して勉学に励めば、中学受験をしなくとも国立大学への合格は難しくないという背景があるからです。
特に福岡県公立御三家といわれる、修猷館高校、筑紫丘高校、福岡高校、その他、城南高校、明善高校、小倉高校など各学区のトップ校が高い大学合格実績を誇るため、中学受験で私立に入学する意向はそう高くありません。
例えば、福岡県公立高校トップの修猷館は医学部進学希望者のための医進クラスを設けて理科3科目の履修をサポートしているなど、医学部希望者に対応したカリキュラムも構築しています。
そうすると、県内でも比較的に中学受験が盛んな福岡市内の小学校を除けば、私立中学校の受験をする生徒は、クラスに2、3名というのが実情です。
なお、最近は宗像中学校をはじめ、公立中高一貫校の受験生も一定数いるため、私立中学受験と含めると、若干数増えているのではないでしょうか。
なぜ中学から受験するの?
「なぜ中学受験をするの?」、「子どもに夜遅くまで塾通いをさせて可哀そう」「小学生のうちは遊ばせてあげないと」なんて、中学受験の事情を知らない同級生の親御さんや親戚から尋ねられたり、心ない余計な一言を言われることもあると思います。
しかし、そういった周囲の声に流される必要はありません。
中学受験をする理由は主に3つあります。
- 大学受験を見据えた6年間のカリキュラム
- 学力へのリターン・学習の習慣化
- 受験環境の変化
- 実績と風土
- 建学精神・人間教育
大学受験を見据えたカリキュラム
1つ目は大学受験を見据えた6年間のカリキュラムです。
大学入試を見据えたカリキュラムで学習している学校も多く、中学校・高校の6年間で学ぶ内容を5年間で学び、残りの1年を大学入試の問題演習にあてることで、十分な受験対策の時間をとることができます。
学力リターン・学習の習慣化
2つ目は中学受験は大学受験に向けて大きな学力リターンがあるからです。
反抗期が始まる前の小学校3年から受験勉強を始めるのは勉強の習慣をつける絶好のタイミングだと思います。
また、小学生時代に勉強に打ち込むことは学力へのリターンが大きいです。
中学受験は公立の小学校で習うレベル以上の学習を徹底的にやり込むのです。
夏休みや冬休みは朝から晩まで徹底的に学習します。ですから、中学受験勉強を経験した者と、していない者で比較した場合には、中学入学段階ですでに圧倒的な差がついています。
その差は容易には縮まらず、学習習慣が身についている生徒が大学受験に向けた中高一貫システムで育成されるわけですから並大抵の努力では追いつくことが難しくなります。
このように大学受験に向けて圧倒的なアドバンテージを得ることが可能なのです。
受験環境の変化
3つ目は受験環境の変化です。
親世代が経験した高校、大学受験時はシステム、試験内容も異なります。
また、附属校・系列校の人気が高い傾向にあります。
近年人気を博している上智福岡中学校は、2010年より上智大学との連携を深め、2011年に校名改称、2012年度から共学化したことで、多くの受験生を集めています。
特に魅力なのは、教育提携校である上智大学への特別推薦枠を40名分持っており、近年首都圏私立大学の難易度が上がる中、特別推薦枠で上智大学へ進学できます。
首都圏の附属校と同様に高校からの生徒募集は行われておらず、完全中高一貫校です。
隣県の佐賀県唐津市にある早稲田佐賀も早稲田大学の系属校として、入学定員の50%を上限とする推薦枠を設定しており、早稲田大学の全ての学部に対して校内の規定により、推薦を決定します。
毎年100名前後が早稲田大学へ推薦入学します。
大学時代の変革の不透明さもあり、附属・提携校の人気が増しています。
実績と風土
公立の中学校から学区トップ校の中で学年トップ集団に入る学力であったとしても、高校のカリキュラムだけでは難関大学への対策は足りないので、予備校等を併用しながら大学受験に臨むことが一般的です。
一方、ラ・サール高校や久留米大学附設高校など九州トップ校は一学年の生徒数が200人前後ながら、予備校に通う生徒も少ない中での進学実績が凄まじく、九州にとどまらず全国トップクラスの実績があります。

受験結果は結果論に過ぎませんが、長年積み上げてきた実績と選択肢の中に東京大学・京都大学・旧帝大医学部への進学が当然にあるという雰囲気・風土が醸成されていることは強みであり、優秀な生徒に揉まれながら努力を続けることで、自ずと実力が付いてくるという利点もあります。
見学精神・人間教育
5つ目は建学精神・人間教育です。
「建学の精神」に基づく個性豊かな活動を積極的に展開しています。私立学校は、学校教育の発展にとって、質・量両面にわたり重要な役割を果たしています。
思春期の多感な時期に私学の人間教育は人格形成に大きな影響を与えます。親の教育観、価値観に合う学校や子どもの性格に合う学校を選ぶことで、その子らしく成長ができます。
最後に
上記の福岡県の公立高の受験事情を踏まえて、私立中学校の受験をするのですから、親自身もお子さんに向き合って中学受験の意味や意義をしっかりと自分の言葉で考えておく必要があります。
幼稚園や小学校低学年の子どもの様子を見て、英進館で勉強させてみたいなと塾の門を叩いたのが3年生のときでしたが、成績が伸び悩み下のクラスに落ちたり上がったりを繰り返し、志望校の判定はいつもDかEでした。
入試本番も子どもながらのミスもあり、悲しみあり、喜びありで親元を離れて入寮するかどうか、家族会議を度々開き、1月から3月まで感情は親子共々ジェットコースターの日々でした。
結果的に志望校に進学できましたが、毎日予習復習に追われ学校での勉強は大変そうです。
ただ、成長していく姿を見て、話をする中で様々な刺激を学校から受けていることは感じます。
筆者自身は親子共々、中学受験を経験して良かったなと心底思っています。